~老司式軒瓦の広がり~
第3回で説明しましたとおり、老司式軒瓦は九州における国の重要な建物に使用されています。
◇老司Ⅰ式軒瓦&Ⅰ式の範疇にある瓦◇
筑前太宰府観世音寺・筑前三宅廃寺・筑前杉塚廃寺
筑前長安寺廃寺・筑前井上廃寺・肥後立願寺跡
肥後陣内廃寺・肥前伝五万長者屋敷跡等から出土。
*特に筑後国、肥後国の国司を務めた「道君首名」が
赴任した時期に太宰府観世音寺の影響を受けて再建
された寺院が、筑後国の井上廃寺・肥後国の立願寺
廃寺・陣内廃寺等です。
◇老司Ⅱ式軒瓦◇
太宰府政庁跡・太宰府安楽寺・筑前国分寺跡等から出土
◇老司系軒瓦◇
筑前般若寺跡・筑前大野城跡・筑前城の原廃寺・
筑後国分寺跡・筑後一本松遺跡・筑後栗原遺跡
豊前国分寺跡・豊前国府跡・豊前木山廃寺
豊前上坂廃寺・豊前福六瓦窯跡・豊後国分寺跡
肥後平原瓦窯跡・肥後稲荷山遺跡・肥前国府跡
薩摩国分寺跡等から出土。
老司瓦系の系譜をひくものは上記のように、太宰府地方
の官衙・寺院などの遺跡で出土していますが、一部に変化
を加えながら九州一円に伝播しています。
特に国分寺の建立に伴って伝播が広がっている事実は、
太宰府の行政機構とかかわり深い瓦であったと言えます。
太宰府の影響をうけ九州各地に造寺事業が広がりました。瓦当紋様の瓦范製作や瓦工人(技術者)の育成が間に合
わず瓦当紋様に影響をしていたとも言われています。
参孝資料: 九州古瓦図録、太宰府史跡出土の軒丸瓦等
<老司公民館だより 2011年10月号>